Column

ヘルスケアに関するコラム

2023年11月27日

生活習慣を整えることが大切!不整脈の原因と予防法

監修:循環器専門医師 磯谷善隆先生

 

不整脈という言葉を知っていますか?実は不整脈は、身近な症状です。

ココロミルが提供する、長時間心電図解析サービス「ホーム心臓ドック®」では、50代以上の2人に1人で不整脈が見つかっています。(※)

この記事では、不整脈の原因とその予防方法について解説します。

 

※ホーム心臓ドックにおいて、不整脈がBもしくはC判定だった人の割合

 

心臓は4つの部屋に分かれていて、心臓の左側にある部屋を左心房、左心室、右側にある部屋を右心房、右心室と言います。これらが拡張と収縮を繰り返して、ポンプのように全身に血液を送っています。

このポンプ機能は、心臓内に弱い電気が流れることでコントロールされています。電気が流れる伝達経路に問題が生じたり、本来とは異なる場所で電気が発生したりすると、心臓の働きに乱れが生じ、不整脈が起こります。

 

不整脈には病気に由来するものと、生理的なものがあります。たとえば運動やストレスにより心拍が速くなり、リラックスしているときや寝ているときはゆっくりになります。

不整脈は、脈が遅くなる「徐脈」、脈が速くなる「頻脈」、脈が飛んだり抜けたりする「期外収縮」の大きく3つに分けられます。

 

 

徐脈性不整脈

徐脈性不整脈は脈が遅くなる不整脈で、心拍数が毎分60回未満になることを言います。

原因として、心臓が動くための電気刺激を与える洞結節の機能が低下することや、心臓内の電気刺激を伝える回路(刺激伝導系)が滞り、心臓が正しく動かなくなることが挙げられます。

 

徐脈性不整脈では、脈拍が少ないので必要な酸素を体中に行き渡らせることができず、安静にしているときや軽い運動などでもめまいや息切れを起こすことがあります。

脈が毎分50回以下が続く場合や、失神を繰り返す場合は、循環器内科を受診しましょう。

 

上室性不整脈

心房からの異常な電気刺激により脈が速くなる不整脈です。原因として、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍があります。

心房細動では、心房内で1分間に600~1000回におよぶ非常に速い興奮が起こり、心房が収縮できず、けいれん状態になってしまいます。そして心室の脈も速くなり、規則性のない脈になります。

心房粗動は、心房内で1分間に200~400回ほどの興奮が発生し、心房がけいれんしてしまう状態です。脈に規則性があることが心房細動との違いです。

 

どちらもすぐに死には繋がりませんが、脳梗塞につながるリスクが高いのが特徴です。心房の中で血栓ができやすくなり、できた血栓が全身に流れていき脳の血管に詰まることで脳梗塞が起こります。

脳梗塞は一度で死に至ることもあり、命を取り留めても寝たきりなどの後遺症が残る可能性が高くなります。

発作性上室性頻拍は、房室結節で電気刺激を伝える回路に異常が生じて頻脈になる状態です。自覚がないこともありますが、脈の乱れ、動悸、めまい、立ちくらみ、失神などが生じることがあります。

 

心室不整脈

心室不整脈には心室期外収縮、心室頻拍、心室細動の3つがあります。

このなかで心室頻拍、心室細動は命に関わる不整脈です。

心室頻拍・心室細動は心室を発生源とする不整脈で、特に心室細動では心室がけいれん状態になってしまいます。心室がけいれんすると心停止となり、迅速に治療を行わなければ死に至ります。

これらの原因には急性心筋梗塞や心不全、遺伝性不整脈があります。

 

遺伝性不整脈

心筋細胞のイオンの流れに関係する遺伝子の変異によって起こるもので、「先天性QT延長症候群」、「ブルガダ症候群」、「カテコラミン誘発多形性心室頻拍」などがあります。

 

若年~中年の人が突然死する原因として知られています。
健康診断の心電図検査で異常を指摘されたら、早めに専門機関を受診しましょう。

 

期外収縮

期外収縮は不整脈のなかで最も多く見られるもので、通常よりも早い段階で心臓の収縮が起こるものです。期外収縮は30歳以上の日本人の多くに起きていると言われていて、年齢が上がるほど発症率が高くなります。

飲酒や喫煙、ストレス、過労などが原因で、胸の不快感や動悸を感じる人もいます。一時的に血圧が下がり、めまいや動悸がすることもあります。

 

 多くは年齢や体質的な理由のため心配いりませんが、健康診断などで期外収縮があると言われたり、症状が頻繁に起こったりする場合は、原因の病気がないか、危険な不整脈に移行する可能性がないかを早めに調べてもらいましょう。

 

 

 

高齢者

年齢を重ねると、不整脈が起こる頻度が上がっていきます。
若い頃はなにも問題がなかった人にも現れることがあるため、健康診断は欠かさないようにしましょう。

 

生活習慣病がある

心臓や心臓の血管に負荷がかかることで、不整脈が起こりやすくなります。
そのため心臓・心臓の血管の負担を増やす生活習慣病を予防することが大切です。糖尿病、高血圧、高尿酸血症、肥満などは心臓や血管の負担になります。

 

また、喫煙、飲酒、睡眠不足なども不整脈の原因になるので注意が必要です。

 

他の心疾患の持病がある

不整脈は他の心疾患によって生じやすくなることが知られています。心筋梗塞、心不全、先天性心疾患術後などの心疾患を持っている場合には、不整脈になりやすいと言えます。

 

家族に突然死した人がいる

不整脈は突然死に繋がりやすい病気です。

 

突然死をした方の原因がわかっていない場合でも、不整脈が原因の場合があり、家族にも遺伝性の不整脈がある可能性があります。

 

薬を多く併用している

心臓病とは直接関係ない薬でも、不整脈を引き起こす場合があります。

薬は服用後に吸収されると血液に溶け込み、心臓にも到達します。通常は心臓に及ぼす作用は極めて弱く問題ありませんが、誤って多く飲んでしまったり、他の薬と併用することで相互作用が起きたりして、心臓に影響が出ることがあります。

 

複数の病院にかかっていて、それぞれで薬が処方される場合は、必ずお薬手帳を用いて医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

 

 

お酒、タバコを控える

飲酒は不整脈の原因になることがわかっています。過度な飲酒は不整脈だけでなく、肝臓や胃腸などへの影響もあるため、控えめにしましょう。

厚生労働省では「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日の平均純アルコール摂取量で男性は40g以上、女性は20g以上としています。ビールで言うと約500mLなので、目安にしましょう。

 

またタバコも心臓だけでなく、血管へのダメージも大きいことがわかっています。飲酒と同様に、不整脈だけでなくガンや呼吸器疾患のリスクにもなります。

禁煙することが望ましいでしょう。

 

体重を適切に維持する

肥満、高コレステロール血症、糖尿病などは不整脈のリスクになります。これらを防ぐために、バランスの取れた食生活を心がけましょう。また定期的に運動に取り組み、適正体重を維持することが大切です。

 

規則正しい生活を送る

食生活、運動だけでなく睡眠不足や過度なストレスも心臓への負担になり、不整脈のリスクが上がります。
なるべく毎日の起床時間・就寝時間を一定にし、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。

 

不整脈には命にかかわるものもあるため、動悸やめまい、失神などの気になる症状があれば、早めに循環器内科を受診するようにしましょう。

また定期的な健康診断を欠かさず受けて、自分の健康状態に気を配ることが大切です。もしも心電図検査で異常を指摘されたら、必ず循環器内科を受診しましょう。

 

 

不整脈のリスクを下げるため、普段から生活習慣を整え、規則正しく過ごすことも有効です。
自分の生活を見直し、健康的な生活を心がけましょう。