Column

ヘルスケアに関するコラム

2026年1月20日

歳を重ねると不整脈になりやすい?高齢者の不整脈をやさしく解説:症状・危険サイン・原因など

監修:循環器専門医師 磯谷善隆先生

 

不整脈という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。もしかすると健康診断で指摘されたことがある人もいるかもしれません。

不整脈は心臓の働きに乱れが生じた状態を指し、加齢によって増える傾向があります。一方で、不整脈には「経過観察でよいもの」から「治療が必要なもの」までさまざまあり、特に高齢者では症状がはっきりしないまま進むこともあります。

この記事では、不整脈とは何かに加えて、高齢者に多い症状・原因・セルフチェック、そして上位記事で必ず触れられている診断(検査)・治療・予後(ケア)までまとめて解説します。

 

 

 

心臓は4つの部屋に分かれていて、心臓の左側にある部屋を左心房、左心室、右側にある部屋を右心房、右心室と言います。これらが拡張と収縮を繰り返して、ポンプのように全身に血液を送っています。

心臓は通常、1分間に50~100回ほど規則正しく拍動しています。脈拍は年齢とともに減少し、65歳以上では1分間に60~80回程度になります。

心臓のポンプ機能は、心臓内に弱い電気が流れることでコントロールされています。電気が流れる伝達経路に問題が生じたり、本来とは異なる場所で電気が発生したりすると、心臓の働きに乱れが生じ、不整脈が起こります。

不整脈には、脈が遅くなる「徐脈」、早くなる「頻脈」、脈が飛んで不規則になる「期外収縮」などがあります。脈拍が60回未満になると徐脈、100回以上になると頻脈とされます。

 

 

 

不整脈は自覚症状がないことも多いですが、高齢者の不整脈の症状として多いのは、動悸、息切れ、だるさなどが挙げられます。

また、めまい、失神、けいれんなどが起こることもあります。これらは不整脈により心臓から押し出される血液量が少なくなり、脳に十分な血液が不足することで起こります。

高齢者では、症状が出ても「年のせい」「疲れのせい」と受け止めてしまい、受診が遅れることがあります。症状が軽く見えても、不整脈のタイプによっては治療が必要なことがあるため注意が必要です。


脈の乱れがあり、以下の症状がある場合は必ず受診してください。

  • 強い息切れ、呼吸が苦しい
  • 強い胸の痛み/胸の圧迫感
  • 意識が遠のく、失神した
  • めまいが強く立っていられない
  • 片側の手足が動かしにくい、ろれつが回らない(脳の症状が疑われる)

「年のせいかな」と我慢してしまう方も多いですが、放置すると危険な不整脈が隠れていることもあります。

 


気をつけるべき不整脈として、「心房細動」があります。

心房が細かく震えるように動き、脈が不規則になります。心房細動はすぐに命に関わるものではないことも多い一方で、血液がよどみ心臓内に血栓ができやすくなり、その血栓が脳の血管に飛んで詰まると「脳梗塞」を引き起こしてしまうことがあります。

脳梗塞は命を落とす可能性があり、一命を取り留めても後遺症で寝たきりや要介護になる可能性が高くなります。
そのため、早期発見と治療・予防が非常に重要です。

 なお、心房細動は動悸や息切れが出ることもありますが、慢性的に続くと症状が分かりにくくなる場合もあります。「症状がない=問題ない」とは限らないため、健診で指摘された方や脈が不規則な方は一度相談すると安心です。

加齢

不整脈は60歳以上で増えると言われており、加齢は不整脈の原因のひとつと言えます。

歳を重ねると身体機能が低下していくため、高齢者では不整脈が増加しやすくなります。

遺伝や体質

遺伝により不整脈が起こることがあります。

突然死をした方の原因がわかっていなくても、実は原因が不整脈だったという場合があり、家族にも遺伝性の不整脈がある可能性があります。

他の心疾患の持病がある

不整脈は他の心疾患によって生じやすくなることが知られています。心筋梗塞、心不全などにかかったことがある人や先天性心疾患の方は注意が必要です。

生活習慣病がある

心臓や心臓の血管に負荷がかかると、不整脈が起こりやすくなります。

糖尿病、高血圧、高尿酸血症、肥満などは心臓や血管の負担になるため、予防が重要です。
また、喫煙、飲酒、睡眠不足なども交感神経を刺激して電気の発生に異常を及ぼし、不整脈に繋がることがあります。規則正しく、健康的な生活を心がけましょう。

ストレス

同様に、ストレスも不整脈の原因になることがあります。交感神経はストレスの影響を受けやすく、不整脈を引き起こすことがあります。

ストレスを溜め込まないよう、適度な運動を取り入れたり、リフレッシュする時間を設けたりするようにしましょう。

お薬・体調の影響(高齢者で見落としやすいポイント)

高齢者は複数のお薬を服用していることも多く、薬の影響や飲み合わせ、脱水、発熱、貧血、甲状腺の異常などが関係して不整脈が目立つことがあります。
「最近薬が増えた」「体調が崩れた」タイミングで動悸が増えた場合も、早めに相談しましょう。

 


脈拍は自分でも測ることができます。気になったときは、自分で確認してみましょう。

利き手の人差し指・中指・薬指の3本の指で、利き手でない側の手首の内側にある動脈を抑えて10 秒間測ります。その回数を6 倍すると1 分間の脈拍数が求められます。

正常な脈拍は、一定のリズムで、1分間に60~100回程度です。

脈拍計やスマートウォッチなどを利用することも有効です。また、定期的な健康診断も欠かさないようにしましょう。

ポイント

動悸が出た日時、状況(入浴後・飲酒後・運動後・寝不足など)をメモしておくと受診時に役立ちます「速い/遅い」だけでなく、リズムが不規則(バラバラ、飛ぶ)も重要です。


脈の乱れがあり、息切れ、だるさ、めまい、失神、胸部の痛みなどがある人は必ず受診してください。また、不整脈があって心配・不安を感じている人は、一度、循環器内科の受診をおすすめします。 

不整脈は慣れてしまうと気にならないことも多いため、指摘されても医療機関を受診しないで放置してしまう人も多いですが、放置すると命の危険がある危険な不整脈の可能性もあります。

指摘があった場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。


「脈が心配だけどセルフチェックではよく分からない」「健診では異常が出なかったけど不安」という方は、自宅で心臓の状態を詳しく確認するという選択肢もあります。

不整脈は毎日同じように出るとは限らず、短時間の心電図では捉えにくいこともあるため、早めの“見える化”が安心につながります。

「たまに動悸がする」「脈が飛ぶ気がする」など、気になる症状があるけど、「病院に行くほどではない」「通院の時間が取れない」という方は、ご自宅で心臓の状態がチェックできる【ホーム心臓ドックpro】のサービスをご活用ください。

ホーム心臓ドックPro
ホーム心臓ドックpro購入ボタン


不整脈が疑われる場合、医療機関では主に次の検査を組み合わせて診断します。

心電図(12誘導心電図)

その場で心臓の電気の流れを記録します。健診で行われるのもこの検査です。

ホルター心電図(24時間心電図)

携帯型の心電計をつけて、日常生活の中で不整脈が出ていないか確認します。
「症状が毎日出ない」「健診の心電図は正常だった」という方でも、ホルターで見つかることがあります。

心エコー(超音波検査)

心不全や弁膜症など、背景にある心臓の病気がないかを確認します。

血液検査など

貧血、電解質異常、甲状腺の異常など、不整脈に関係する要因を確認します。

健診で指摘されたけれど症状がない方でも、種類によっては治療が必要になるため、循環器内科に相談しましょう。


不整脈は種類が多く、様子観察で済む軽度なものから、生命に直結する重篤なものまでさまざまです。予後も不整脈の程度や背景疾患によって変動します。

高齢者の場合、徐々に機能が衰えている分、不整脈の症状にも体が少しずつ慣れてしまい、なかなか自覚症状として思えず、気が付いた時には重篤な不整脈が出ていた、ということがあります。これを避けるためにも、定期的に健康診断を受け、自分の心臓機能について把握しておく必要があります。

また、不整脈についての薬を内服している場合は、飲み忘れによって不整脈が悪化し、重篤な症状が出現する恐れがあります。そのため、薬を飲み忘れずに確実に飲めるよう、周囲もサポートを行う必要があります。

日常で意識したいこと

  • 薬の飲み忘れを防ぐ(服薬カレンダー、ピルケース、家族の声かけ)
  • 睡眠不足・過度の飲酒・喫煙を避ける
  • 息切れやめまいが増えたら早めに受診
  • 体調不良(発熱、下痢、脱水)時は不整脈が出やすくなることがあるため注意


脈の乱れがあり、息切れ、だるさ、めまい、失神、胸部の痛みなどがある人は必ず受診してください。また、不整脈があって心配・不安を感じている人は、一度、循環器内科の受診をおすすめします。

不整脈は慣れてしまうと気にならないことも多いため、指摘されても医療機関を受診せずに放置してしまう人もいます。しかし、放置すると命の危険がある不整脈の可能性もあります。

健診で指摘があった場合や、脈の乱れを感じた場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

「たまに動悸がする」「脈が飛ぶ気がする」など、気になる症状があるけど、「病院に行くほどではない」「通院の時間が取れない」という方は、ご自宅で心臓の状態がチェックできる【ホーム心臓ドックpro】のサービスをご活用ください。

ホーム心臓ドックPro
ホーム心臓ドックpro購入ボタン


中高年の心臓による突然死については以下の記事もお読みください。
40代50代で突然死する人に共通する5つの特徴は? 2025年最新の突然死予防サービスも紹介

よくある質問(FAQ)

Q1. 健康診断で「不整脈」と言われました。症状がなくても受診した方がいいですか?

A. 一度は受診をおすすめします。健診の心電図は短時間の記録のため、その時に出ていない不整脈は見つからないこともあります。また、不整脈の種類によっては、症状がなくても治療や追加検査が必要な場合があります。健診結果(心電図所見)を持参して、循環器内科で相談すると安心です。

Q2. 不整脈は放っておくとどうなりますか?

A. 不整脈には、経過観察でよいものもありますが、放置すると脳梗塞(心房細動)や心不全、まれに命に関わる不整脈につながる可能性があるものもあります。特に高齢者は症状に気づきにくいことがあるため、指摘があった場合は放置せず評価を受けましょう。

Q3. 不整脈があると運動はしてはいけませんか?

A. 種類と状態によります。軽い不整脈で医師から制限がない場合は、適度な運動が勧められることもあります。一方で、強い動悸、胸痛、息切れ、めまい、失神などがある場合は運動で悪化することもあるため、まず受診して安全な範囲を確認してください。既に治療中の方は、主治医の指示に従いましょう。

Q4. 不整脈の薬(血液を固まりにくくする薬など)を飲み始めたら、気をつけることは?

A. 自己判断で中止せず、飲み忘れを防ぐことが大切です。特に血液を固まりにくくする薬は、飲み忘れが続くと予防効果が下がる可能性があります。また、高齢者では腎機能や体重変化、転倒リスク、飲み合わせなども重要になるため、出血しやすい症状(鼻血が止まりにくい、黒い便、血尿など)や気になる変化があれば早めに相談してください。