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ヘルスケアに関するコラム

2024年9月9日

睡眠不足が引き起こす体への影響と対策法

監修:マインドフルネス講師 関根朝之

 

 

現代社会において、多くの人々が睡眠不足を抱えています。厚生労働省によると、日本人の睡眠時間は平均7時間42分で、過去20年間にわたり減少を続けていることがわかっています。

仕事や学業、家事、育児など、様々な要因により睡眠時間を十分にとれない人が多くなっています。睡眠不足が続くと、私たちの体と心にどのような影響を及ぼすのでしょうか?この記事では、睡眠不足が引き起こす体への影響と、その対策法について詳しく解説します。

 

睡眠不足が体に及ぼす影響

 

睡眠不足により、体は様々な影響を受けています。日中に眠気を感じる人は多くいると思いますが、それだけでなく、睡眠時間が短い日が続くと、体に深刻な影響が出ることがあります。

 

1. 免疫力の低下

睡眠は体の免疫システ ムを強化する重要な役割を果たしています。そのため十分な睡眠が取れないと、免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

 

2. 心臓への負担

平均睡眠時間が6時間以下の場合、そうでない人に比べて心臓発作や脳卒中に伴う死亡率が2.1倍であるという調査結果が出ています。

また、睡眠時無呼吸症候群がある場合、心不全を引き起こす可能性があります。いびきが多い場合や、同居人などに睡眠時に呼吸をしていないと指摘された場合は、早めにスリープクリニックを受診しましょう。

 

3. 精神的な健康への影響

睡眠不足は、ストレスや不安、うつ病の症状を悪化させることがあります。国立精神・神経医療研究センターの研究では、1日に4時間半ほどしか眠らない睡眠不足が5日続くと、不安や混乱、抑うつ傾向が高まるという研究結果が出ています。

精神的な健康のためにも、十分な睡眠が必要です。

 

4. 記憶力と集中力の低下

睡眠は記憶の定着や情報の整理に重要な役割を果たしています。また、睡眠不足だと日中に眠くなり記憶力や集中力が低下することがあります。仕事や学業のパフォーマンスに影響を与えるだけでなく、重大なミスや事故に繋がる可能性があります。

 

5. 体重増加のリスク

食欲にはホルモンが関係していますが、睡眠時間が短いと食欲を抑制するレプチンというホルモンの分泌が低下することがわかっています。また、食欲を増進するグレリンというホルモンの分泌が増えることも報告されています。そのため、睡眠不足が続くと過食に繋がり、体重増加に繋がることがあります。

 

 

 

 

十分な睡眠をとることが健康のためにも重要だということがわかりました。では、量も質も十分な睡眠をとるためにはどうすれば良いのでしょうか。

睡眠の質を高める方法をご紹介します。

 

1. 規則正しい生活リズムを作る

毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計を整えることができます。週末も含め、一定の睡眠スケジュールを守ることが重要です。特に、毎朝同じ時間に起きることを心がけましょう。

朝起きたら、まずカーテンを開けて朝日を浴びることで、体内時計をリセットすることができます。

 

2. リラックスする時間を持つ

就寝前にリラックスする時間を持つことで、心を落ち着け、スムーズに眠りにつくことができます。ヨガや瞑想、マインドフルネスなどのリラクゼーション法を試してみましょう。好きな香りのアロマを焚くなども有効です。

また、就寝1時間ほど前から、パソコンやスマートフォンは控えて、部屋の照明の光量を落としたり間接照明を利用したりして、リラックスできる環境を整えましょう。

 

3. 寝室の環境を整える

快適な寝室環境を整えることも、質の良い睡眠には欠かせません。マットレスや枕は自分の身体に合ったものを選ぶことが大切です。

室温16℃~26℃程度、湿度50~60%程度が質の高い睡眠のために良いと言われています。エアコンや加湿・除湿機を活用して、適切な温度と湿度に整えましょう。

外がうるさい、明るい場合は耳栓やアイマスクを利用するのも効果的です。

 

4. カフェインとアルコールの摂取を控える

カフェインやアルコールは睡眠の質を低下させることがあります。

カフェインは体外に完全に排出されるまでに8時間ほどかかるため、カフェインの摂取は夕方までにするとよいでしょう。

アルコールは一時的に眠くなりますが、覚醒作用があり睡眠の質を低下させます。過度な飲酒は控えるようにしましょう。

 

5. 適度な運動を取り入れる

デスクワークやリモートワークにより、日中の活動量が減り運動不足になっている人も多いのではないでしょうか。日中に適度な運動をすることで、睡眠の質に良い影響があります。

意識して運動を取り入れるようにしましょう。激しい運動である必要はなく、ウォーキングなど気軽に取り入れられるものから取り入れるようにしましょう。

ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経の働きを高めて体を覚醒させてしまうため、避けてください。

 

 

睡眠不足は私たちの健康に多大な影響を及ぼします。精神的、身体的に健康に過ごすためにも、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。

ただし、早く寝なければ、と考えすぎると返って眠れなくなってしまうこともあるので、プレッシャーを感じすぎないように気をつけてください。

日々の生活を整え、リラックスする習慣を実践して、心地よい睡眠を手に入れましょう。