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ヘルスケアに関するコラム

2024年4月17日

不整脈 ってなに?原因と症状を解説

監修:循環器専門医師 磯谷善隆先生

 

不整脈という言葉を聞いたことがあっても、それがどのような症状・状態なのかは知らない人も多いのではないでしょうか。

不整脈を理解するには、まず心臓の仕組みについて知る必要があります。

 

 

 

心臓は4つの部屋に分かれていて、心臓の左側にある部屋を左心房、左心室、右側にある部屋を右心房、右心室と言います。これらが拡張と収縮を繰り返して、ポンプのように全身に血液を送っています。

1分間に心臓が収縮する回数を心拍数と呼びます。

この心臓の収縮は、電気的な刺激によって収縮しています。電気刺激は右心房の上部にある洞結節から発生し、心房の壁を伝わって心房の筋肉を収縮させます。健康な成人では、一般的に心拍数は1分間に50~90回です。

 

 

この電気刺激の起こり方や電気を伝える伝達経路に問題が生じたり、本来とは異なる場所で電気が発生したりすることで不整脈が起こります。

不整脈には、脈の乱れ方によって3つに分類されます。

 

  1. 心拍数が遅くなる「徐脈」

   心拍数が1分あたり50回未満になること

  1. 心拍数が速くなる「頻脈」

   心拍数が1分あたり100回以上になること

  1. 単発で起こる「期外収縮」

   通常よりも早い段階で心臓の収縮が起こること

 

ただし、運動中や緊張しているような状況では心拍数が一時的に高くなることがありますが、これは通常の反応であり、心拍数が一時的に100回を超えていても問題ありません。

 

 

 

不整脈の原因には、大きく4つ考えられます。

 

①心臓の病気

例えば冠動脈疾患や心臓弁膜症、心不全、先天性心疾患などが原因で不整脈が起こることがあります。

 

②その他の病気

甲状腺ホルモンや自律神経の活動に異常がある場合や肺の病気で不整脈が起こることがあります。

また、高血圧や肥満などの生活習慣病なども不整脈が起こる要因になります。

 

③薬の副作用

一部の薬は不整脈を引き起こす可能性があります。薬を服用中に異常を感じた場合は、自己判断で服用を中止せずに医師に相談してください。

 

④その他の要因

体質、加齢、ストレス、アルコール多飲、睡眠不足などで不整脈が起こることがあります。

とくに加齢により不整脈の発症率が高くなることがわかっており、30歳以上の日本人の多くに期外収縮が起きていると言われています。

ストレスや睡眠不足が原因になることもあるため、生活習慣を整え、しっかり休養をとることが重要です。

 

 

不整脈の症状は、軽度の場合には胸がドキドキするなどの動悸や脈が不規則になることがあります。また、息切れやだるさ、疲れやすさを感じることもあります。

心臓が血液を押し出す力が弱まるため脳に血流が行き届かず、めまいや失神などの症状が発生することがあります。

致死的な不整脈では、心肺停止や突然死が起こる可能性があるので、注意が必要です。

 

 

 

不整脈の治療にはいくつか方法があります。

 

①薬物治療

不整脈のタイプにより用いる薬は異なりますが、薬の服用で治療を行います。

抗不整脈薬や、血栓予防薬を用いることが多いです。他の治療法と併用することもあります。

 

②薬を用いない非薬物療法

・ペースメーカー

徐脈や失神などの症状がある場合にペースメーカーの植え込みが検討されます。ペースメーカーが電気刺激を発生させることで、心臓の働きを正常にします。

 

・ICD

ICDは埋込み型の除細動器です。心臓の状態を観察し、不整脈を検知すると自動的に心臓に電気ショックを与え、突然死を防ぎます。

突然死などが起こる可能性がある不整脈がある場合に使用されます。

 

・カテーテルアブレーション

太ももの付け根や首のあたりからカテーテルを心臓に挿入し、不整脈の原因となっている心臓の箇所を直接治療する方法です。

非常に小さな部分のみの治療のため、心臓全体に影響はなく、身体への負担が少ないのも特徴です。

 

 

不整脈には自覚症状がない場合もあり、致死的な不整脈があっても気づかないこともあります。定期的な健康診断に加え、自分で脈をチェックしておくことも大切です。

気になる症状や不安があったら、早めに受診するようにしましょう。