Column

ヘルスケアに関するコラム

2023年10月20日

動悸・息切れは心臓の病気かも? 更年期 の症状との違いや気をつけるべきこと

監修:循環器専門医師 磯谷善隆先生

 

走ったり、階段を駆け上がったりすると、心臓がドキドキ・バクバクして、息苦しくなることがあります。このような動悸や息切れは誰にでも起こりますが、加齢や運動不足によって出やすくなります。

このような動悸や息切れの症状は、女性の更年期にもよく起こります。

更年期 は閉経前後の10年間のことを言い、一般的に45歳~55歳頃が多くなります。この更年期には肩こりや疲れやすさ、頭痛、のぼせ、動悸、イライラなど様々な症状が現れます。

 

 

動悸・息切れが起こる原因

更年期になると、卵巣の機能が低下し女性ホルモンがうまく分泌できなくなります。

女性ホルモンをコントロールしている視床下部は、「女性ホルモンが減った」と気付き「女性ホルモンをもっと出して」と司令を出します。しかし卵巣は女性ホルモンをうまく分泌できないため、視床下部もうまく機能しなくなってしまいます。

視床下部は女性ホルモンのほかに自律神経や免疫機能もコントロールしているため、自律神経のバランスも崩れてしまいます。

呼吸や拍動は自律神経によってコントロールされているため、自律神経が乱れることによって動悸や息切れが起こるのです。

 

心臓病の可能性はある?

心臓などの循環器の病気の場合も、動悸や息切れが起こります。不整脈や心不全、心筋梗塞などでは、動悸や息切れのほかに胸痛、めまい、失神を伴うことが多いです。

このような症状がある場合は、緊急を要するため早めに病院を受診しましょう。

また心電図や胸部X線などの検査を受けていない場合も、病院を受診し、動悸や息切れの症状が更年期によるものなのか、その他の要因がないのか、医師の診断を受けましょう。

 

受診するときにわかるとスムーズなこと

病院で、動悸や息切れが更年期症状か他の病気かを判断するとき、医師に適切な情報を伝えられるとスムーズです。以下の情報を可能な範囲でメモしておきましょう。

 

心拍数(1分間)

手首や首のつけ根など、脈を感じられる場所に指を置いて、15秒間の心拍数を数えます。 その数を4倍にすると、1分間当たりの脈拍数になります。

スマートウォッチなどで測れる場合は、それを利用するのもよいでしょう。

 

いつから症状があるのか

動悸や息切れの症状をいつから感じているのか、どういうときに起こるのかをメモしておきましょう。

ずっと続くのか、寝ているときなのか、どれくらい続くのかなどの情報もあるとよいでしょう。

 

その他の症状があるか

動悸や息切れ以外の症状があるのかによって、疑わしい病気や検査項目も変わってきます。いつもと違う、気になる症状は記録しておきましょう。

 

閉経後は心臓病になりやすい

女性ホルモンは、心臓や血管を守ってくれる働きがあります。しかし閉経後は女性ホルモンの分泌が減るため、心臓病のリスクが上がってしまいます。

女性ホルモンの心臓・血管保護作用がなくなることで高血圧や高コレステロール血症などの生活習慣病が増え、動脈硬化を引き起こします。その結果、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などが起こりやすくなるのです。

そのため、動悸や息切れが心臓の病気によるものでなくても、食事や運動などの正しい生活習慣を心がけましょう。

代表的な心臓病についてはこちらの記事で解説しています。

 

 

 

動悸が起きたときの対処法

症状が現れたときは、まずはイスや横になれる場所で楽な姿勢になり、様子をみましょう。リラックスしてゆっくりと深呼吸をすることで症状が治まることもあります。

動悸が何度も起こる、安静にしていても動悸がする場合は、病院で診察を受けましょう。

ただし、動悸だけでなく胸の痛みや息苦しさを感じる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

 

更年期の症状は多岐にわたり、個人差があります。日常生活に支障が出てしまうこともあります。なかでも動悸や息切れは他の病気が隠れている可能性もあるので、放置せずに医療機関を受診しましょう。

更年期の症状も、適切な治療により改善が見込めます。ひとりで抱え込まず、医療機関で相談するようにしましょう。