Column
ヘルスケアに関するコラム
2023年9月4日
不整脈 は突然死を招くことも…危険な不整脈の兆候を知っておこう
監修:循環器専門医師 磯谷善隆先生
日本の3大死因
厚生労働省の令和4年(2022)人口動態統計月報年計によると、2022年の男女合わせた死亡数は156万8961人で、死因としては「1位:悪性新生物」「2位:心疾患」「3位:老衰」となっています。
出展:令和4年(2022)人口動態統計月報年計(厚生労働省)
心臓は全身に血液を送り出している臓器であり、心臓の停止は死に繋がります。そのため心疾患は死亡率が高く、恐ろしい病気と言えます。
また、ある日突然命を奪われる「突然死」が多いのも心疾患の特徴です。心臓による突然死の原因は、急性の心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋症など不整脈によるものが多いとされています。
不整脈 は、放置すると突然死を招きかねない症状です。突然死の兆候を見逃さないために、どうすればよいのでしょうか?
不整脈とは
心臓は4つの部屋に分かれていて、心臓の左側にある部屋を左心房、左心室、右側にある部屋を右心房、右心室と言います。これらが拡張と収縮を繰り返して、ポンプのように全身に血液を送っています。
このポンプ機能は、心臓内に弱い電気が流れることでコントロールされています。電気が流れる伝達経路に問題が生じたり、本来とは異なる場所で電気が発生したりすると、心臓の働きに乱れが生じ、不整脈が起こります。
不整脈には病気に由来するものと、生理的なものがあります。たとえば運動やストレスにより心拍が速くなり、リラックスしているときや寝ているときはゆっくりになります。
不整脈の種類
心臓は電気信号によって、収縮と拡張を繰り返していますが、この電気信号に異常があると不整脈が起こります。 不整脈には4種類あり、「単発的に出る不整脈(期外収縮)」「脈が速くなる頻脈性」「脈が遅くなる徐脈性」「命に関わる不整脈(心室頻拍、心室細動)」に分類されます。
期外収縮とは
このうち期外収縮は最も多く見られるもので、通常よりも早い段階で心臓の収縮が起こるものです。期外収縮は30歳以上の日本人の多くに起きていると言われていて、年齢が上がるほど発症率が高くなります。
飲酒や喫煙、ストレス、過労などが原因で、胸の不快感や動悸を感じる人もいます。一時的に血圧が下がり、めまいや動悸がすることもあります。
多くは年齢や体質的な理由のため心配いりませんが、健康診断などで期外収縮があると言われたり、症状が頻繁に起こったりする場合は、原因の病気がないか、危険な不整脈に移行する可能性がないかを早めに調べてもらいましょう。
脈が速くなる頻脈性不整脈
心拍数が毎分100回以上になる不整脈を頻脈性不整脈と言います。心臓の収縮と拡張が速いスピードで繰り返されるので、心臓の負荷が大きくなり心不全に至るリスクが高くなります。
代表的なものに洞性頻脈、発作性上室性頻拍、心房細動などがあります。
このなかでも気をつけたいのが心房細動です。
心房細動では、非常に速い電気刺激が発生することにより心房の壁が収縮できず振動します。
すぐに死には繋がりませんが、脳梗塞につながるリスクが高いのが特徴です。心房の中で血栓ができやすくなり、できた血栓が全身に流れていき脳の血管に詰まることで脳梗塞が起こります。
脳梗塞は一度で死に至ることもあり、命を取り留めても寝たきりなどの後遺症が残る可能性が高くなります。
加齢や肥満、飲酒、喫煙、ストレスのほか、高血圧は心房細動を発症する要因になるので、生活習慣の改善に取り組むようにしましょう。
徐脈性不整脈では息切れやめまいが起こる
徐脈性不整脈は脈が遅くなる不整脈で、心拍数が毎分60回未満になることを言います。脈拍が少ないので必要な酸素を体中に行き渡らせることができず、安静にしているときや軽い運動などでもめまいや息切れを起こすことがあります。
命に関わることは稀ですが、ペースメーカーなどで治療が可能です。
命に関わる不整脈
命に関わる不整脈として、心室頻拍と心室細動があります。
心室頻拍・心室細動は心室を発生源とする不整脈で、心室がけいれん状態になってしまうものです。心室がけいれんすると心停止となり、迅速に治療を行わなければ死に至ります。
これらの原因には急性心筋梗塞や心不全、遺伝性不整脈があります。致死性不整脈を防ぐために、原因となる病気の治療に臨みましょう。
不整脈を見つけて突然死を防ぐには
命に関わる不整脈もあるため、定期的に健康診断を受けたり、普段から自分で脈を測ったりするようにしましょう。
スマートウォッチなどに心拍数を測定する機能がついているものがあるので、そういったものを利用するのも良いでしょう。
ココロミルでは、医療機関でも使われている高精度なウェアラブル心電計を使って、心電図を測定し解析するサービスを提供しています。小さな機械で24時間以上の測定を行うため、装着にも負担がなく、健康診断では見つからなかった不整脈などの症状が見つかることもあります。
突然死を防ぐためには、早めに不整脈の有無に気づくこと、また危険な不整脈の場合は適切な治療を受けることが大切です。
気になる症状があったら、早めに病院を受診しましょう。