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ヘルスケアに関するコラム
2023年10月4日
心臓病 は命に関わる?代表的な病気と予防法を解説
監修:循環器専門医師 磯谷善隆先生
心臓は血液を通して全身に酸素や栄養を送り出している臓器で、この動きは心臓内に弱い電流が流れることでコントロールされています。
心臓病とは、心臓に起こる病気のことで、何らかの原因に寄って心臓の動きに異常が起こり血液循環が滞ってしまうことで発症します。
代表的なものに虚血性心疾患、不整脈、心臓弁膜症、心不全などがあります。
また、厚生労働省の令和5年(20223年)人口動態統計月報年計によると、2023年の死因の第2位は心疾患となっており、心臓病は命に関わる病気と言えます。
心臓病の種類
①虚血性心疾患
心臓は全身に血液を送っていますが、心臓自身も大量の血液が必要で、その血液を運ぶための血管を冠動脈と言います。この冠動脈が硬くなったり、脂肪やコレステロールでできたプラークによって血管が狭くなったり詰まったりすることを「動脈硬化」と呼びます。
動脈硬化によって心臓が酸素欠乏に陥る「狭心症」や、心臓の一部が壊死してしまう「心筋梗塞」を虚血性心疾患と呼び、命に関わることもある重大な病気です。
②不整脈
心臓は普段規則正しく拍動して全身に血液を送り出していて、運動時や緊張したときには脈拍が速くなり、安静時や寝ているときは脈拍が遅くなります。
不整脈は、この心臓の拍動が乱れて不規則になったり、速く・遅くなったりする状態のことです。
不整脈は大まかには「期外収縮」「頻脈性不整脈」「徐脈性不整脈」の3つに分類できます。
期外収縮は脈が不規則な状態のことで、30歳以上の日本人にはよく起きていると言われており、健康な人でも飲酒や喫煙、ストレス・過労などによって一時的に現れることがあります。
頻脈性不整脈は心拍数が100回/分以上の状態を指し、激しい動悸や胸の不快感をともなうことが多いです。心臓の負荷が大きくなるため心不全のリスクが高まるほか、血栓ができやすくなって脳梗塞の原因にもなる心房細動が起こることもあります。
反対に、徐脈性不整脈では心拍数が60回/分以下になり、安静にしていても息苦しさやめまいなどが起こります。
不整脈については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
③心臓弁膜症
心臓は心臓の左側にある左心房、左心室、右側にある右心房、右心室の4つの部屋に分かれています。それぞれの部屋を繋いでいるのが「弁」と呼ばれるもので、血液が逆流するのを防いでいます。その弁が加齢や病気によって働きが悪くなり、弁が硬く開きにくくなる「狭窄症」、弁が閉じきらず血液が漏れてしまう「閉鎖不全症」が起こります。
重症化すると息切れや胸の痛みなどの心不全のような症状が現れることがあります。
④心不全
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し全身に血液を十分に送り出せない状態のことを言います。
心筋梗塞、心臓弁膜症、高血圧、不整脈などさまざまな疾患が原因となります。
ゆっくりと進行する場合は初期症状で運動時の息切れや足のむくみなどの症状が現れ、進行するにつれて安静にしていても息苦しいなどの症状が出るようになります。
急に進行する場合はむくみが一気に肺まで及び、呼吸困難に陥ることもあります。
心臓病の予防
虚血性心疾患は、生活習慣が原因になることが多いです。普段から健康的な生活習慣を心がけましょう。
喫煙・過度な飲酒を控える
喫煙は心臓病だけでなく、様々な病気の危険因子になります。
喫煙が習慣になっている方は、少しずつでも減らせるよう心がけましょう。
また過度な飲酒も様々な病気の原因になります。お酒は適度に楽しむようにしましょう。
バランスのとれた食生活を心がける
塩分や糖質、脂質のとりすぎは、高血圧や高脂血症などの心臓病の原因になります。
食事は3食バランスよく摂ることが重要です。また、早食いの人はなるべくゆっくりと食べたり、夜遅い食事を控えたりなど、食べ方にも注意しましょう。
野菜や食物繊維を意識的に取り入れ、適正カロリーの範囲内で食事を楽しみましょう。
運動習慣をつける
運動不足は肥満に繋がったり、血液の流れが悪くなったりと生活習慣病に繋がります。
散歩やストレッチなど始めやすいものから取り入れましょう。時間をとるのが難しい場合は、なるべく階段を使ったり、通勤で歩く距離を増やすなど、日常生活で少しでも体を動かす機会を作るのがおすすめです。
ストレスを溜め込まない
ストレスは高血圧や、不眠、過食などに繋がりやすいため、ストレスを溜め込まない工夫が大切です。
ゆっくりする時間を設けたり、気分転換をしたり、自分なりのストレス解消方法を見つけておきましょう。
睡眠時間もしっかり確保するのがおすすめです。
心臓の病気は、命に関わるものが多くあります。
病気を予防するためにも日常生活から生活習慣の改善を心がけ、定期的な検査を欠かさないようにしましょう。
気になる症状があったら放置せず、早めに受診しましょう。