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2026年9月25日

「完成された大企業」から、社会実装のど真ん中へ。損保・コンサル・バンダイナムコを経て、山田がココロミルで挑む“経営の実装”【前編】

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■ PROFILE
山田 陽一郎(やまだ よういちろう)
株式会社ココロミル 執行役員 ソリューション事業本部/ヘルスケア事業統括

大学卒業後、あいおいニッセイ同和損害保険を経てAPIコンサルタンツに参画。
マネージャーとして業績改善やPMIなど8つの大型プロジェクトを牽引。
その後バンダイナムコエンターテインメントにて経営戦略を策定し、
グループ会社(バンダイナムコエイセス)の最年少取締役に就任。
2026年よりココロミルに参画し、ヘルスケア事業統括およびIPO準備・経営戦略を担う。
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損害保険会社、コンサルティングファーム、そして大手エンターテインメント企業・バンダイナムコ。

異なる業界、異なる規模、異なるビジネスモデルの中でキャリアを重ねてきた山田が、次に選んだのは、まだ成長途上にあるココロミルでした。

完成された大企業から、なぜベンチャーへ移ったのか。 山田が語るのは、単なる「裁量の大きさ」や「成長できそうだから」というよくある転職理由ではありません。

「良いサービスはある。でも、良いものをつくっただけでは社会には広がらない。その価値を事業として成立させ、企業や自治体を巻き込みながら社会に実装し、それを支える組織までつくらなければいけない。そこにこそ、自分がこれまで培ってきた経験を使う余地がある」

現在は執行役員としてヘルスケア事業を統括し、BtoCの自社集客、BtoBアライアンス、官民連携プロジェクトをはじめ、IPO準備、組織改革、業務プロセス、リーガルチェックなど、事業と経営の両面に深くコミットする山田。

あらゆるビジネスの世界を見てきた彼は、ココロミルの何に可能性を感じたのか。そして、シリーズB以降の会社に「何」をつくろうとしているのか。山田自身の言葉で語ってもらいました。

【career】「自分のキャリア」より、仕事を通じてどんな価値を提供できるか

僕のキャリアのスタートは新卒で入社した損害保険会社でした。 損害保険は、金融の中でも少し特殊なビジネスです。形のある商品ではないので、目に見えないものに対して「なぜ必要なのか」を伝えなければいけない。これは結構難しいビジネスです。一方で、何かが起きたときには必ず誰かを支えるものでもある。そういう意味では、目には見えないけれど社会を根底から支えている、一種の社会インフラのような存在でした。

その後、コンサルティング会社に転職しました。 実は、僕は新卒の就職活動の時はオリエンタルランドに入社したかったのですが、最終選考で落ちてしまって。「絶対にいつかリベンジしてやるぞ」と思っていました。 そんな折に、前職のコンサル会社の社長から「一度うちでビジネスを勉強してから挑戦したらいいんじゃないか」と声をかけてもらい、飛び込んだんです。

いざ入ってみると、想像していた以上にレベルが高かった。一人ひとりに求められるアウトプットの水準も、仕事の負荷も圧倒的でした。最初は「これができるようにならないと、ビジネスの世界では通用しないな」と痛感しました。ただ、やっていくうちに、クライアントの中に入り込み、困っている企業と泥臭く向き合いながらプロジェクトを動かしていく「コンサルならではの面白さ」も分かってきました。

その後は、もともと持っていたエンターテインメントへの熱も冷めてはいなかったので、バンダイナムコに移りました。全社的な経営戦略の策定や役員直下のプロジェクトを推進し、ありがたいことにグループ会社の最年少取締役にも抜擢していただきました。 30代前半でグループ経営の舵取りや意思決定を担えたことは、ビジネスパーソンとして非常に得難い経験でした。

こうやって並べてみると、損保、コンサル、エンタメ、ヘルスケアと、一見するとかなりバラバラに見えるかもしれません。でも僕自身の中では、全くバラバラだとは思っていないんです。

コンサルは、困っている企業を助けるサービス。 バンダイナムコは、エンターテインメントを通じて人に感動を提供する会社。 そしてココロミルは、人の命や、その人の大切な時間に関わるサービスを提供している。

結局のところ、仕事って「価値提供」だと思うんです。 だから僕は、あまり「こういうキャリアを積みたい」「次はこの肩書きが欲しい」という自分主語の軸では仕事を選んでいません。「その仕事をすることで、誰に、どんな価値を提供できるのか」。

振り返ってみると、ずっとそこだけを見てきた気がします。

【decision】完成された会社ではなく、まだ“社会実装されていない価値”を広げる側へ

バンダイナムコは、言ってしまえば「完成されたビジネスの集合体」です。 世界的にも知られていますし、すでに社会に広く認知されている強力なIPやコンテンツがある。その豊かな土壌の上で、新しいものをどう生み出していくかというフェーズにいる会社です。もちろん、それはそれですごく面白い仕事でしたし、そこでグループ最年少役員という重責を任せていただき、経営の面白さやインパクトの大きさを知れたのも貴重な経験でした。 ただ、自分一人が会社や事業全体に与えられる影響力を考えると、大企業である以上、当然そこには限界があります。

一方で、ココロミルは真逆でした。 会社としてはまだまだベンチャーですし、完成されていない部分だらけです。でも、サービスそのものは抜群に面白いし、社会的にも絶対に必要とされるポテンシャルがある。

特に、心電図の測定時間を長くすることで不整脈などの異常を発見できる可能性が劇的に高まるという事実は、入社を検討する中で改めて知りました。一般論として心疾患リスクが大きいことは知っていましたが、「時間を伸ばすだけで、ここまで発見率が変わるのか」と。それを知ったとき、「これは世の中に絶対に広がらないといけないサービスだ」と確信したんです。

ただ、良いサービスを持っているからといって、それだけで勝手に世の中に広がるわけじゃありません。 むしろココロミルの場合は、ここから社会実装していくまでに、いくつもの分厚いハードルがある。誰にどう届けるのかという緻密な戦略も、リソースも、企業とのアライアンスも、自治体や行政との連携も不可欠です。

そう考えたときに、「ここなら、これまでのコンサル経験や大企業での経験がフルに活かせるぞ」と思いました。 すでに完成されたビジネスの中で自分の役割を担うのではなく、良いものはあるけれど、まだ社会に十分届いていない価値を、どう社会に実装するかを泥臭く考える。これは自分にとっても新しい挑戦ですし、人生を懸けてやる意味があると思いました。

【philosophy】意思決定の軸は、「失敗しないか」ではなく「後悔しないか」

「ベンチャーに移ることに不安はなかったですか?」とよく聞かれますが、不安はあまりなかったですね。 というより、「失敗できないな」というプレッシャーの方が強かったかもしれません。

バンダイナムコでは、ある意味、会社の巨大な仕組みの中で仕事をしていました。でもベンチャーでは、自分が価値を出せなければ、その影響がダイレクトに会社に返ってきます。だから、「楽しいから飛び込んだ」というフワッとした感覚よりは、「ここに来た以上は、絶対に価値を出さなければいけない」というヒリヒリした気持ちの方が強いです。

それでも転職を決断したのは、僕の意思決定の基準が「失敗しないか」ではなく、「後から後悔しないかどうか」だからです。

「あの時、やっておけばよかった」 「あの時、手を差し伸べておけばよかった」 「あの時、捨て身で飛び込んでおけばよかった」

後からそう思いそうなことは、基本的にすべてやるようにしています。だから、これまでの人生において後悔したことはないんですよ。

「失敗」についても、同じような感覚を持っています。
よくある言い方になっちゃうかもしれませんが、僕は失敗って、結局は「成功するまでの途中経過」でしかないと思っているんです。 何かをやってうまくいかなかったら、「じゃあ次はこうしよう」と考える。次も違ったら、また別のやり方を試す。そのプロセスが続いている限り、それは貴重な経験値であって、僕の中ではまだ「失敗」とは呼びません。最終的に成功するまでの、道の途中にあるものなんです。

【confidence】経験、人、サービス。この3つがあるから、必要以上の不安はない

ココロミルに入ることに不安を感じなかった理由を紐解くと、大きく3つあると思っています。

一つ目は、自分自身の「経験値」です。 コンサル時代を含め、うまくいっている企業だけでなく、うまくいっていない会社や事業も山ほど見てきました。「この進め方をすると、ここで必ず詰まるな」とか、「この状態になってくると組織が危ないな」といった兆候を見る目は養われています。何かが大きく傾く前に、できるだけ早く察知して、そうならないように軌道修正する。それが自分の大きな役割だと思っています。

二つ目は、ココロミルで働く「人」たちです。 ベンチャーって、大企業以上に一人ひとりの価値が重いじゃないですか。一人の意思決定や専門性が、会社全体の運命を左右することもある。そんな環境の中で、ココロミルにはそれぞれの領域で確かな専門性を持つメンバーが揃っています。「この人たちがいるなら、きっとどうにかできる」。そう思えるのは、すごく心強いです。

そして三つ目が、「サービスの本質」です。 僕はこれまで、「これは正直、売るのがかなり難しいな」と感じる商材やサービスに関わったこともあります。当然ビジネスなので、それでも売り方を考えなきゃいけない。 でもココロミルの場合、「そもそも世の中に必要ないものを無理やり広げようとしている」わけではないんです。心疾患のリスクはすでに社会課題として存在していますし、予防や早期発見のニーズは潜在的にも顕在的にも確実にある。 だから、自分たちがやっていること自体が間違っているという感覚が一切ないんです。 もちろん、売り方や届け方には改善の余地があります。でもそれは、「必要のないものをどう売るか」という次元の話ではなく、「必要とされている価値を、どう適切な形で届けるか」という設計の問題です。事業をつくる上で、この心理的安全性はものすごく重要だと思っています。

【strategy】BtoC、BtoB、官民連携を分けずに、「どう社会実装するか」で考える

現在は、執行役員としてヘルスケア事業全体を見ています。 仕事内容を一言で説明するのは結構難しくて、BtoCの自社集客もやれば、BtoBの企業アライアンスや法人導入も進める。さらには自治体などと連携する地域コミュニティや、官民連携プロジェクトも動かしています。

ただ、僕自身はこれらを「完全に別々の仕事」として切り分けているわけではないんです。すべては「ココロミルのサービスをどう社会に実装していくか」という、大きな一つのテーマの中にあると思っています。

ヘルスケアって、良い製品をつくれば勝手にバズって広がるような領域ではないんですよね。生活者に直接届けるだけでなく、企業や自治体、保険者、医療機関など、すでに社会に存在している既存の仕組みといかに接続するかを考え抜かないといけない。 特にベンチャーは、自分たちだけですべてのリソースを持っているわけではありません。だからこそ、大企業や自治体の力を借りながら、一緒につくっていく。僕は、そこにこそベンチャーならではのダイナミズムがあると思っています。

自社だけで完結させず、外部のプレイヤーと共創することで社会実装のスピードを圧倒的に上げる。その時に、「どこと組めばいいか」「どういうビジネススキームにするか」「誰にどんな価値を返すか」までを描き切る。 実際に入ってみると、ヘルスケア事業には僕が思っていた以上に“やりよう”があると感じています。官民連携だけでも無限の可能性がありますし、BtoBも含めて、ビジネススキームはいくらでもつくれる。事業としての将来性は、入社前の想像を遥かに超えているかもしれないですね。

【前編はここまで】 前編では、コンサルや大企業など「完成されたビジネス」を歩んできた山田が、あえてベンチャーであるココロミルを選んだ背景。そして、揺るぎない価値を持つサービスをいかにして「社会実装」していくのか、その戦略と覚悟について語ってもらいました。

続く後編では、いよいよシリーズBからIPOへと向かう「組織づくりと経営のリアル」に深く踏み込みます。 会社が急成長する過程で陥りがちな“他責の壁”をいかにして壊すのか。攻めと守りのバランスをどう取るのか。そして、あらゆるビジネスを見てきた山田が語る「ベンチャーで働く究極の面白さ」とは――。

⇒「完成された大企業」から、社会実装のど真ん中へ。損保・コンサル・バンダイナムコを経て、山田がココロミルで挑む“経営の実装”【後半編】